西成区選出維新議員、橋下の西成区ヘイト発言はスルーして自民の失言だけ叩く

橋下・維新大阪都構想, 維新の西成区ヘイト

維新の会、辻淳子大阪市議(西成区選出)のツイッターから。

都島区選出の自民党船場太郎市議が「都構想になれば西成区と一緒になるのは嫌という区が出てくる。あそこは生活保護の率が高い」と発言したことを、維新信者が「失言」と叩いていることに乗っている。

たしかにこの書き込みだけ取り上げれば、辻氏の反論は全く正しい。

西成区をあいりん地区とか生活保護とかそういうネガティブなイメージ一色に結びつけること自体が、大きな間違いである。西成区自体はただの住宅街だし、あまり知られていないものの区の南側には歴史や文化人ゆかりの地も多い。「西成区も広くて、大阪フィルハーモニーがあるのは、西成です! 」というのもそのとおりである。

土地勘があれば、天下茶屋や岸里・玉出、すなわち何の変哲もない住宅街で、一般にはあまり認識されていないかもしれないものの文化施設や史跡などもある街であるというこそが、西成区の本来のイメージである。あいりん地区やら何か問題のある人間が集住しているようなイメージを区全域に押し付けられるいわれはない。

この意味では、これは党派にかかわらず、西成区に関係する人や土地勘がある人は怒って当然であろう。

だが、ちょっと待ってほしい。維新の会の大ボスの橋下徹は、動画で紹介されている発言以上にひどい、西成区へのヘイト発言を繰り返しているではないか。船場市議の発言もよろしくないが、維新の会の議員や維新信者がドヤ顔で鬼の首をとったかのように批判できる資格はあるのか。

橋下・維新が推進する「西成特区構想」自体が、あいりん地区の課題と西成区全体を意図的にごっちゃにして、あいりん地区はたまたま行政上西成区に入れられただけで西成区の代名詞でも代表的な街でも何でもないにもかかわらず、あいりん地区の否定的な課題の代名詞として「西成」と呼び、あいりん地区のおかしな現象を面白おかしく「西成」と騒ぎ立ててマイナスイメージを強化し、あいりん地区の課題も解決しないどころか、まるで「悪いイメージのある地域じゃないと都合が悪い」かのように悪いイメージを固定化させたうえ、岸里や玉出など関係ない地域にもネガティブなイメージを押し付けるものである。

あいりん地区の支援者やそれに乗ったマスコミが長年、あいりん地区の否定的な課題を指して全く範囲の違う地名の「西成」と言い立て、西成区の、特に南側の人が嫌な思いをしてきたのは事実である。

しかし橋下・維新の「西成特区構想」は、西成区への風評被害を解決するどころか、逆に「あいりん=西成」と間違った発想の延長線上にある。「西成特区構想」によって、西成区への間違ったイメージを強めている形になっている。

橋下は2012年1月の市会で、共産党・尾上やすお市議(西成区選出)の「西成区はあいりん地区一色のイメージではないと、地元の人間は認識しているが、市長の認識はどうか」という趣旨の質問に対し、「意味がわからない」と放言したうえ、「(尾上市議が)あいりん地区はあのままでいいと言ったが、それは違う」と尾上市議が言ってもないことを言ったかのようにねじ曲げて答弁する始末である。

また橋下は、西成区役所に来訪した際、「西成区は車から降りられない」かのように事実に反することを印象付ける物言いもおこなっている。

「大阪都構想」の中で大阪市を解体して特別区にする、その際にあいりん地区の生活保護費で財政が圧迫されるとして、現行の行政区であいりん地区を含む西成区を「お荷物」扱いする傾向が強まった。そして「西成特区構想」が打ち出された。しかし前述のように「西成特区構想」自体が的外れなことで、ネガティブイメージが強化された。

特別区の区割りの際には、「西成区とは一緒になりたくない」「西成区と一緒になった区は、イメージが下がる」などと攻撃する傾向も見られた。ちょうど、最初の動画での船場市議の発言と同じような発言が、あちこちから聴かれたことになる。

あいりん地区の否定的な現象を指して「西成」呼ばわりするせいで、天下茶屋や岸里・玉出・津守などの人たちが「西成区」というだけであいりん地区と一緒にされて、地域のイメージが下がって苦しんできたのに、さらに追い打ちをかけられた形になっている。

橋下のせいで、「西成」の地名を何かおかしなものの代名詞扱いで騒ぎ、たまたま行政上西成区になっている天下茶屋や岸里・玉出などに地域差別的なヘイトスピーチを食らわせるような傾向が強まったのである。

西成区の維新の会関係者・支持者が、そんなことをしている橋下に加勢するなど、正直言って理解に苦しむ。橋下が「大阪都構想」「西成特区構想」などと余計なことをしたから、西成区へのネガティブイメージが強まったように感じる。

維新の会が言うように、西成区の地名を消して「中央区」に地名変更すれば課題は解決するというわけではない。

地名変更しただけでは、行政上西成区となっているだけの、西成区にネガティブのイメージを付ける元凶となっているごく一部の特定の地域や勢力が改善されたりよそに分散して去るわけでもなく、そういう勢力は引き続き居座るだけで、実態が変わるわけではない。今度は「中央区」があいりん地区のおかしな現象の代名詞として使われ、西成区南部が受けてきた風評被害が新中央区全域に広がるだけではないだろうか。

地名を変更するかどうか以前の話として、「西成」の地名を間違った用法で使わせるようなことをやめさせなければどうしようもない。

そもそも一般に地名の変更、行政区の分割併合や境界変更だけなら、法的には現在の大阪市のままでもできる。

西成区のイメージアップというなら、まずはあいりん地区そのものを解体する、あいりんセンターを例えば夢洲あたりにでも移転させる、西成区からあいりん地区周辺を分割して「西成区」と「あいりん地区」を別の区にすることなども考えられる。しかし維新は、住之江区は勝手に分割しようとしているのに西成区分割の提案はどこからもない、あいりんセンターは現地建て替えであいりん地区を維持するなど、悪いイメージの固定化を図っている。

特別区にすると、単に行政区の合併ではなく、自治体として財源基盤が弱くなるし、市民サービスなどの低下も考えられる。そのため単純に行政区再編よりも取り返しの付かないことになる。

(参考記事)

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