住民投票をめぐる2つの不審電話

大阪市の廃止・分割の賛否を問う住民投票をめぐり、2種類の不審電話の情報がかけめぐっている。

4月30日以降、大阪市解体に賛成する大阪維新の会の側から、自動音声での世論調査を装って「投票に行かない場合は自動的に賛成になるのをご存じですか」とのメッセージが流れるとする不審電話がかかっているという情報が流された。

これについては、維新の会支持者から維新事務所に寄せられたとする情報だけがひとり歩きし、維新関係者以外の中立派・反対派の自宅に無差別に電話がかかっているという情報は確認されていない。また発信元の電話番号や録音の公表などもない。

選挙管理委員会でも「伝聞に基づいた問い合わせは20件ほどあったが、直接電話を受けたという情報提供はない」としている。

維新の会側は5月8日付で、この不審電話に関する刑事告発をおこなったという。中心となって動いているのは、弁護士でもある坂井良和前大阪市議・置田浩之前大阪府議と、最初に情報を流した宮脇のぞみ大阪市議、故郷の広島県福山市長選挙転身を目指して4月の大阪市議選には出馬しなかった村上栄二前大阪市議の4氏だということ。

村上栄二前市議のブログの書き方がふるっている。

blog20150508

「維新に最後のご奉公」というタイトルで5月8日にアップされたエントリには、「ツイートが自作自演だという事で反対派の方々が色々と言うてるみたいなので刑事告訴します」。

反対派がツイートへの疑問を出していることを「名誉毀損」と恫喝するために濫訴するつもりなのかと読めた。しかし、後述の疑問点に対する対応の可能性が高いのか。

維新が「不審電話」と主張している内容については、維新側の対応がおかしいと指摘されている。不特定多数からの証言が出ないこと、電話番号や録音などの情報が出てこないこと、ツイッターで「もっと詳しく調べてほしい」という要望を寄せた人少なくとも2人に対して維新市議がブロックで応じたこと、すぐに選管や警察に届けず投票後に後回しにすると発言したことなど。そのため、反対派を貶めるデマを振りまいて賛成派に有利にするための自作自演を疑う人もいる。

自作自演説は個人的には疑われてもしかたがないとは思うが断定もできない、だから自作自演説を否定するためにもしかるべきところで調べることはいいんじゃない。ただ、別に反対派とされる人が抱いた感想をあげつらうべき問題ではなく、「不審電話」とされるものそのものに対して最初から粛々と対応すればいいことじゃないの。「不審電話」が仮に事実だとすれば、住民投票の協定書の内容への賛否以前の問題であり、本来やるべきではない方向で騒ぎを焚きつけようとしているのかと思われるような態度が好ましいとは思えない。

一方で、維新が「不審電話」への刑事告発をおこなったとするニュースが流れた5月9日午前、住民投票に関連して別の不審電話の情報が大量にネット上をかけめぐりはじめた。

橋下徹の録音音声を流し、住民投票への賛成を促す電話が無差別にかかっているという情報である。事業所や非公開番号にも無差別にかかっている・しかも反対派の事務所の電話にまでかかっているという情報まであることから、どうもコンピュータプログラムの総当りでかけている様子。理論的には、大阪市の市外局番06+大阪市内地域に割り当てられている市内局番を抽出したうえで、06-****-0000から9999まで片っ端から自動ダイヤルすればかかることにはなる。

橋下徹からの録音音声電話については、ツイッターだけでも、特に「都構想」について発言していないようなアカウントの人からも含めて、不特定多数の人から「かかってきた」という情報があげられていた。中には発信者の電話番号や録音をアップしている人もいた。

橋下徹からの電話については、電話での投票呼びかけ自体は違法ではないが、運動員が直接対話するのではなく、自動ダイヤルで録音音声を一方的に流されることは迷惑と感じている人も多い様子。

橋下は大阪維新の会代表とはいえども、大阪市長でもあり、政治的な問題としてどうなのかという問題もある。

2つの「不審電話」がクローズアップされた形になったが、維新の会側が主張する「不審電話」は抽象的な情報のみがひとり歩き、一方で維新がかけた電話は「不審電話」扱いされるという形になっている。