維新の会の西成区地域差別ビラの中身を分析

橋下・維新saveosaka517, 維新の西成区ヘイト

大阪維新の会が西成区で「西成の地名をなくす」と書いたビラを発行し、ネットでは「地域差別」などと批判が巻き起こっている。

情報を総合すると、5月14日頃に西成区内でポスティングされたらしい。

西成区の維新ビラ

(画像の出典:http://pbs.twimg.com/media/CE7bFYTVEAABNK6.jpg)

西成区では維新の会が「都構想で西成の地名をなくす」「西成区から中央区になってイメージアップ」「この地域は閑静でいい街なのに、外からの西成のイメージを押し付けられて嫌な思いをしてきたと思います。それをなくすのが都構想」などと、宣伝カーやメガホン宣伝でも言いまくっていたという目撃情報が多数ある。私自身も、2回ほど実際に聞いた。

ビラがまかれていたこと自体は、想定範囲内である。

以下、ビラの記述の内容を分析したい。

1.「西成の地名をなくす」

「若い人が出て行ってしまう」から「「西成」のマイナスイメージを消す」「都構想で住所から「西成」をなくせます」は、論理的におかしいのではないか。

以前に書いたエントリ(維新が西成区の地名に悪いイメージを振りまきながら「西成の地名をなくす」とは?)の内容をしつこく繰り返す形になってしまうが、「西成」の地名のイメージ悪化の原因は、あいりん地区やら飛田やら何とかの変な現象の代名詞・象徴として、それらの地域の事情通を装って変な現象を面白おかしく言い立てるために、全く範囲の異なる地名の行政区の名称である「西成」と騒ぎ、「西成」の地名にワケありのニュアンスを付ける者が後を絶たないことではないか。

西成区の大半は大阪市内でも平均的と言っていい・下町と言われるような他行政区と大差ない住宅街であり、残りは木津川筋の工業地帯。事情通ぶる者がワケありのニュアンスを付けて騒ぐ「西成」に該当する地域は、西成区全体から見ればごく小さな地域である。

しかしながら訳ありのニュアンスをつけて騒ぎたがる者のせいで、西成区全域が何かわけあり地帯かのような事実に反する印象が付けられ、土地勘のない人も勘違いして、変なイメージが付いてしまった。

さらには、西成区というだけで勝手に「西成区だからガラが悪い・かわいそうな生育歴…など否定的なイメージそのものの生活で、しかもそのことを異常なほど強調するに決まっている。そうでない人間はおかしい」と決め付けて気持ち悪いこだわり方をし、「ぼくのかんがえたにしなりく」のイメージに合わないとみなした西成区の住民や出身者・住宅街を攻撃するような心ない者もみられる。

事件や事故・社会現象などで、土地柄とは全く関係ない内容でも、たまたま発生場所が行政上西成区になっている地域というだけで、他の地域では結び付けないはずなのにわざわざ否定的なイメージと結びつけて、土地柄に原因があるかのようなミスリードをするものもいる。大阪市がそういうミスリードをしていたことがある。

また西成区の出身や在住を自称し過剰にそれを強調しながら、外からの変なイメージを振りまく側に立つようなものも一部にいる。

そのため、普通に生活しているだけなのに、出身地や住所の話になると西成区というだけで異常な喰いつかれ方をされることを嫌がる人も多い。西成区で生まれ育った人は、出身地や住所の話題には極力触れたがらない人も多いし、「西成」に変なこだわりをする人間に対しては警戒することも多い。また機会があれば引っ越すことを選ぶ人も多い。

そういう背景があるから、「この地域は閑静でいい街なのに、外からの西成のイメージを押し付けられて嫌な思いをしてきた」という維新の会の分析自体は正しく、それで嫌な思いをしてきたことから「西成区の地名を消す」という発想が出ること自体は、正直いっておかしくない。ある意味住民要求の一つの形態でもあり、維新の会もそこにつけ込んだのだろう。

「地名を消すこと」そのものを地域差別に結びつけて批判している論調も多いが、それは外から見た視点であり、西成区で生まれ育ったり生活している(していた)などの人の感覚からはずれていると感じる。「地名を消す」ことそのものを「地域差別」に短絡的に結び付けられない。

これも以前のエントリの繰り返しになるが、西成区の問題は、以下の2つの課題が混同されて論じられているように感じる。

  • 行政上西成区に含まれる地域になる、あいりん地区で発生している否定的な現象。
  • 「西成」の地名を、あいりん地区やら飛田やらの存在やそこでの否定的な問題の代名詞として使う者がいることで、行政上の西成区全域がおかしな地域かのように間違えられる風評被害。

西成区の住宅街やその地域在住者・出身者、その他親族ゆかりの地や職場があるなど西成区に縁のある人にとっての深刻な被害は、主に後者になる。後者の被害がもはや地域差別レベルになっている。

ありていに言えば「何の変哲もない目立たない住宅街なのに、よその地域の変なイメージの代名詞として自分の町の名前が勝手に使われてうっとうしい。住吉区や住之江区など他の区では食いつく人はほぼいないのに、西成区だと異常に食いつくものがいる。そういうのはやめろ。特別視されるいわれもないし特別視されたくもない。ただの地味な下町扱いでええやん」ということだろう。

まずは、「西成」の地名を、なにか変なものの代名詞として使うような者をなくしていくことが先になるのではないか。そのためには、あいりん地区の改善とともに、あいりん地区の否定的現象を「西成」の地名と結びつけるような行為をなくしていくことが必要ではないか。

それを抜きにして「西成の地名を消す」と言っても、あいりん地区の変な実態はそのまま、「中央区」が変な現象の代名詞となって風評被害を受けるということになるだけだろう。そもそも、あいりん地区という地名がちゃんとあるのに、関係ない地名の「西成」を使う者のせいでいわれのない風評被害を受けたという歴史的経緯がある。

橋下や維新の会も「西成特区構想」などと騒ぎ、西成区の地名に否定的なイメージを蒸し返して強めた側。自分で悪いイメージを強めておきながら、悪いイメージだからなくすというのは傲慢ではないか。

西成区への「地域差別」は、「地名を消す」という行為そのものではなく、むしろ維新が西成区の地名に対して実態とは反する否定的なイメージを振りまいて強めながら、「悪いイメージだから都構想でなくせます」と「都構想」実現のネタに使おうとした行為のことだと感じる。

またそもそも、理論的には「西成区」の区名をなくすには、大阪市のままで行政区の合併や分割・境界変更の際に実施することも、また大阪市として条例を出して単独で変更することも可能である。「都構想」でないとできないということは事実に反する。

2.「橋下市長があいりん地区を改善しました」なる記述

あいりん地区の改善は粛々とすればいいのに、「西成」と騒ぐから、西成区への悪評が広まったことを指摘しておかなければならない。あいりん地区対策も怪しげなものも含まれているが、ここでは深入りはしない。

少なくとも、今宮小中一貫校のスクールバスは、あいりん地区改善の問題とは直接関係ない。

今宮小中一貫校は、かねてから周辺地域で児童が減少したことを受け関係校で統廃合が検討されていたところに橋下が現れ、橋下の持論のエリート小中一貫校化の実現も兼ね、小中一貫校としての統合が決定したものである。

今までの3小学校統合により校区がかなり広がり、北側は浪速区との境界、南側は天下茶屋駅よりもさらに南側・岸里駅付近までくさび状に食い込む形となった。しかし校舎を校区の北端近くに置くことになったため、校区の特に南側からは、学校までは極めて遠いこととなった。単純に距離だけでみれば天下茶屋小学校・橘小学校・岸里小学校のほうが近い地域から、その3校を横目に、わざわざ電車で2駅分通学させることとなる。通学定期支給やスクールバスなど、児童(特に低学年)の足の確保が必須ということになる。

3.これまでの政治家は誰もこの街を変えてくれませんでした

そうぶちあげると、維新の会・辻淳子大阪市議の父親でもある辻昭二郎元大阪市議の立場がなくなる(笑)。辻昭二郎元市議があいりん地区の問題、西成区への風評被害の問題を解決するよう求めて議会質問する場面もあったのだが(1994年3月18日)。

4.特別区になると予算を決めることができる区長が生まれる

この記述自体は誤りではない。しかし重大な問題が抜け落ちている、恣意的な説明だと言っていい。

大阪市を解体して特別区にすると、特別区に直接入る収入は4分の1になる。残りは一度府に入ってから交付金として再分配されるとされているが、具体的な分配率は明記されておらず、府と5特別区の間でもめて思い通りに収入が得られない可能性が高くなっている。

そのため、予算がスケールダウンし、予算を決めること自体はできても、予算の内容は住民の要望に答えられない可能性も高くなる。

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