私たちの街、大阪市は守られました

5月17日投開票の、大阪市の分割・解体と特別区設置、賛成派が言うところのいわゆる「大阪都構想」への賛否を問う住民投票。反対票が約1万票、得票率で約1ポイント差で辛うじて上回り、大阪市の廃止はされず、引き続き政令指定都市として運営されることになりました。

広範な市民の共同と連帯の力で、私たちの街・大阪市が守られたことは、率直に嬉しい事です。

しかし細かくみてみると、課題も浮かび上がるようです。

24行政区ごとに開票区を設けていますが、概して南側や西側の区では反対が大きく上回りました。一方で中央部や北部の区では賛成が上回る結果になりました。東側の区ではほぼ拮抗状態で、反対票が下回った区でも、東成区では22票差、鶴見区では107票差とほぼ互角となりました。

区毎の開票状況の違いはおそらく、長年住んでいる人が多い南部・西部・東部地域と、近年に引っ越してきた人が多い中央部・北部地域の違いが主な理由だと考えられます。

また橋下市政のもと、特に南側の区や西側の区に不利益を与えるような施策が取られてきたことも背景にあるのでしょう。

市営住宅は特別区営にされるとなっていたので、「特別区になると建て替えや修繕の予算が回らなくなる」という不安も出ました。市営住宅の多い平野区をはじめ、市営住宅入居者や入居希望者にとっては深刻な課題です。

住吉市民病院の問題は、住之江区や西成区の子育て世代を直撃し、また廃止されると小児周産期医療がなくなるということで子育て世代に敬遠される街になってしまうという不安も出ました。

「都構想」で上からの統合問題に巻き込まれた大阪市立大学は住吉区、また「都構想」に伴って府立移管せずに廃止方針が出された大阪市立デザイン教育研究所は阿倍野区にあります。いずれも南側の区に立地しています。

防災問題については、津波を伴う大地震が発生した場合、海沿いの西側の区の被害が大きくなることが予想されます。「湾岸区」になると予算スケールが小さくなることや、そもそも「都構想」に防災の観点がほとんどないことで、防災面への対応の不安が広がりました。

維新の支持層からは、「金持ち区が貧乏区に足を引っ張られた」だの「貧乏区に当てはまらない天王寺区は、西成区と一緒にされることを嫌った反対派の宣伝が効いた」だのと、地域分断をあおるような陳腐な分析をしているようですが、違うでしょう。特に後者は反対派が天王寺区で「西成」どうこうを煽ったという事実はなく、むしろ維新こそが西成区の地名を変なものの象徴扱いして悪いイメージを煽り「都構想」推進のスケープゴートにしようとしました。

大阪市は守られ、橋下は2015年12月の任期満了をもって政界引退し弁護士業務に戻るかのように表明したとのことですが、まだ予断を許しません。

橋下は市政運営の中で、これまで以上のむちゃくちゃな攻撃を仕掛けてくるでしょう。引退表明といってもこれまでの言動からは信用できないことです。

またこれまでの橋下市政に加えて、賛成派・反対派で街が分断されたことで、コミュニティの修復も重要な課題になっています。

分断や対立ではなく、多様な立場からの意見交換は率直におこないながらも、より良い街を作るための合意形成を大切にできるような、新しい大阪市の街を作っていかなければ。