大阪市の反ヘイトスピーチ条例は継続審査へ

大阪市会の2015年5月議会に提出されていた「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案」は2015年6月10日、閉会中継続審査となった。

ヘイトスピーチは表現や思想信条の自由の枠から逸脱した、他者の属性に対する差別的言動での人権を著しく侵害する人権侵害行為である。社会的に許されないことであり、何らかの形で実効ある対策を取られなければならないのは当然だし、その点については各会派とも一致している様子である。

しかしその一方で、大阪市が提出した条例の運用に対しては、恣意的に運用される危険性もあると疑問・不安の声があがっていた。

ヘイトスピーチの被害を訴える機関の委員は市長が選任することで、公正中立が保てないのではないかという声もあがっていた。

確かに、人権侵害への対策を口実に、特定の政治勢力の意向を受けてその集団にとって意に沿わないとみなした相手に「差別者」のレッテルを貼り、正当な言論まで妨害する形になると、具合が悪いなんて生やさしい表現では済まされない。人権の大義名分を振りかざした人権侵害ということになってしまい、取り返しがつかないことになる。

とりわけ大阪では、過去に一部「人権団体」がそれに近いような恫喝行為をおこなっていたこともあり、そういう動きには警戒するのも当然だろう。

正当な言論を「誤爆」で攻撃することなく、悪質な差別主義的言動を社会的に封じ込めていく、このためには条文が悪用される余地がないよう、ていねいに練り上げていくことが必要になってくる。

一部の「反ヘイト」からは、「とにかく早く成立させろ。継続審議はけしからん」みたいな論調もみられたが、早く成立させることそのものが目的になって中身はどうでもいいという方が、将来に禍根を残しかねない危険なものではないか。人権に関わることだから、間違った運用の余地を残さないように慎重に検討するのは当然ではないのだろうか。

なお、大阪市会では同日6月10日、超党派議員が提出した「ヘイトスピーチの根絶に向けた法整備求める意見書」が全会一致で可決されている。