脱原発一本で他の政策軽視はいかがなものか

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 東京都知事選で脱原発候補の「一本化」を進めてきた「脱原発都知事を実現する会」は1月20日、一本化の断念を発表した。

 この会には鎌田慧氏(ルポライター)・瀬戸内寂聴氏(作家)などの著名人が名を連ねているという。

 東京都知事選では宇都宮健児氏が立候補を表明したが、その後細川護煕氏も立候補の意向を示した。ともに「脱原発」を掲げているとして「一本化」を求める声が出た。

 しかし「一本化」論者の主要な論調は、宇都宮氏が出馬の意向を示すと「宇都宮氏では勝てない」といいたて、その後細川氏が立候補表明すると、宇都宮氏に一方的に降りるよう求めるような態度だった。

 そもそも都政の課題は、「脱原発」の一本ではない。公共事業・商業・工業・社会福祉・教育・保育など、住民生活のあらゆる分野に関して、候補者が何を目指すのかということを提示することが求められる。

 細川氏は、脱原発とは言っているものの、他の分野の政策についてははっきりしない。はっきりしないまま「一本化」だけを求められても、無理筋である。宇都宮氏は「都政の課題について細川氏陣営と公開で討論したい」と述べたというが、まずはそういう原則的な対応が必要ではないか。政策がわからないのに一方的に乗れというのは、事実上「無条件で立候補を辞めろ」と迫られているのと同じであろう。

 大阪市や堺市の例をあげ、「大阪ではできたのに東京ではできないのは、宇都宮氏を支援する共産党の独善。共産党は宇都宮氏支援から手を引け」とまで批判の矛先を飛ばす人もいるという。大阪市長選や堺市長選では、いわゆる「共産党系」ではない候補者の政策が明確であり、また共産党の立場でも100%とまではいかないが大枠では是々非々で支持できるという判断が働いたのだろう。この点は、東京都知事選とは大きく違う点である。

 「脱原発都知事を実現する会」は一本化を断念し、細川氏支持を決めたという。その理由としては、新聞報道によると以下のように指摘されている。

 同会は細川氏支持を決めた理由を「『脱原発を最優先する』と明らかにしている」「宇都宮氏は脱原発を他の施策と並列させ、優先度が低い」などと説明。都内に事務所を設置し「勝手連」として細川氏を支援する方針という。

(『都知事選:脱原発候補者の一本化断念 実現する会』 毎日新聞web版 2014年01月20日)

 この方たちが誰を支持しても自由だとはいえども、脱原発ありきで他の都政の課題を軽視するような対応には疑問を感じざるをえない。

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