大阪都構想、区割り案でもめるのは必至

 大阪都構想で維新が区割り案を絞り込んだというニュースが飛び込んでいる。しかしいくら区割り案を絞り込んでも、新たな課題ばかりが浮き彫りになる。

 毎日放送のニュース番組より。

MBS VOICE「どうなる都構想 新たな課題も…」     2014/01/21 放送

少しでも早く、現在4案ある区割りの絞り込みをしたい橋下市長。

 しかしこの日、市議会では区割りについて新たな課題が指摘された。

 <OSAKAみらい(民主系) 松崎孔市議>
 「6万人の方が巨大大震災によってなくなると、年配の方にしたら、何を考えとんねん、もうこんなもんいうたら、住之江区みんな死んでくれいうようなもんやないかと」

 南海トラフ地震による津波被害を大きく受ける住之江区選出の松崎議員は、今回の区割りを懸念する。

 橋下市長が絞り混みを目指す5区に分ける案では、住之江区は湾岸の5つの区と一緒になる。

 湾岸の開発を一帯で行えるという。

 しかし、新たにできるこの特別区は、去年、大阪府が示した南海トラフ地震の被害想定で、その多くが浸水してしまうことがわかったのだ。

 大阪市内の死者想定、12万人のうち、実にこの湾岸の6区に、半分の6万人が集中している。

 このため、松崎議員は「湾岸の6区が1つになることに到底納得できない」という。

 <OSAKAみらい(民主系) 松崎孔市議>
 「自分たちが、そんな危険な特別行政区に住んでいかなあかんなんてことを、住民のみなさんが許すはずがない。数字だけの区割りなってます」

 地元住民も…

 <住民男性>
 「もうここ一帯、全滅っていうかそういう形になってしまうんで、意味がないんじゃないかな」

 <住民男性>
 「元々、住之江区と住吉区、一緒やもんなあ。分かれてこうなった。こんなん(東西で)いくんかと思とったけどな」

 そう住之江区は40年前、東隣の住吉区から分かれてできたのだ。

 それだけに、開発の都合で湾岸区を一緒にすることに疑問を持つ人も多い。

 大阪都構想での大阪市の分割、区割り案、どの案をとってもいびつな面があるが、住之江区という一つの区の視点から見ても異常さが浮き彫りになる。

 大阪都構想で維新が絞り込んだ案では、住之江区は大正区・港区・福島区・此花区・西淀川区の湾岸部と一緒になる案が出ている。

 ところが住之江区は歴史的には、江戸時代の郡も含めて、新しく特別区となる他の地域と一緒になったことはない。1974年に住吉区から分区したことなど地理的・歴史的な事情から、住吉区とは結び付きが強い。また地理や交通網の面で、すぐ北隣の西成区とも結び付きが強い。

 行政の出先機関や民間事業所の管轄区域や担当地域は、区単位ではなく複数の区を担当地域にしている団体・組織の場合、「住吉+住之江」もしくは「住吉+住之江+西成」の組み合わせが多い。

 しかし新しく特別区になる他の地域とは、地理的にも橋一本でつながっているだけでそんなに結び付きが強くない。新特別区になることが検討されている湾岸の6区は、現行の各区が川や海で隔てられた「群島」状態で、大きく分けると「住之江」「大正・港」「福島・此花・西淀川」と異なる地域に分かれて、それぞれの地域ブロックごとに別個に梅田や難波などの都心部に交通網などが向いている状態になっている。特別区が地理的・交通的にまとまりがある状態ではない。

 しかも湾岸部の6区は防災上の課題も抱えることになる。今までは大阪市として全体的に対策していたのが、規模が小さい特別区として対策せざるを得なくなり、負担が大きくなり手が回らなくなることが予想される。

 そもそも大阪市を解体する必要はない。住民に身近な役所・ニアイズベターというのなら、それこそ現行の区役所機能を強化し、もし必要ならば現行行政区の分割や統合・境界の変更などの措置をとればいいことである。政府も行政区の区役所機能強化を柱にした法改正案を検討しているという。大阪都構想は混乱させるだけで、大阪市を解体する以上のことはないのではないか。