大阪市出直し市長選へ、2月1日の報道から感じたこと

 1月31日に行われた大阪都構想の法定協議会。大阪市を解体して特別区に再編する案について、この日の協議会で具体的な区割り案を決めるとしていた橋下大阪市長と大阪維新の会。しかし他の全会派からの反対を受けて、この協議会では採決されなかった。

 このため、2014年秋の住民投票ができなくなる公算が大きくなった。協議会の直後、橋下徹大阪市長は、「議論の進め方があまりにも非常識すぎる。都構想のプロセスをつぶす戦略そのもの」などとまくしたて、週明けの2月3日に対応の方針を会見するとした。

 もっとも、「議論の進め方があまりにも非常識すぎる」のは、都構想ありきで、都構想の議論の中で明らかになった新たな課題には一切耳を傾けず、自分たちの言いなりにならないものは妨害者だと一方的に決め付けて強引な対応をしてきた橋下・維新の側にある。

 マスコミからは「知事と市長が辞職して、知事選挙・市長選挙のダブル出直し選挙の可能性」という憶測も流れた。

 日が明けて翌日2月1日。橋下市長は日本維新の会の党大会に出席し、市長を辞職して出直し選挙に再出馬するという意向を示した。一方で知事選の出直し選挙については、橋下市長が止めたという。

 しかし出直し選挙をしても、2015年春の大阪市議選までは議会の構成が変化するわけではなく、辞職で再選挙当選でも状況が変わるわけではない。

 他会派は全く冷ややかだという。

 公明市議団幹部は取材に対し、「こちらは議論を深めようと言っている。自分の意のままにならないからといって辞めるなら勝手にどうぞ」と話し、自民党府議団幹部は「何を争点に出直し選をするつもりか。対抗馬を立てない方が、維新の独り相撲の様子が浮き彫りになる」とあえて「不戦敗」で臨む可能性にも言及した。

 共産党市議団幹部は「橋下氏と松井氏が再選しても議会の構成は変わらず、議論の状況は同じだ。大義のない選挙はすべきではない」とけん制した。

(2014年2月1日  読売新聞 「都構想 手詰まり…法定協は事実上決裂」)

 主要政党はいずれも、3日の橋下氏の記者会見を見た上で、候補者擁立について検討を始める方針。ただ既に、市議会の自民、公明両党からは「何を問うのか不明」「勝手にやって勝手に当選してください」「対抗馬は出さない」との声が聞かれる。

 民主党は、他党との相乗りも検討する見通しだが、有力な独自候補擁立を模索する動きはみられない。共産党は「有力な候補がいれば支援する」(市議団幹部)と述べるにとどめており、独自候補は立てない意向だ。
(時事通信 2014/02/01-18:44「出直し選、無投票の可能性も=「一人でやればいい」」)

 わざと対立候補を立てずに、橋下を無投票当選させる戦術すら浮上しているという。

 一般論で言えば、反対派に対立候補を立てないのは民主主義の上では望ましくないだろう。しかし橋下という特殊な人物の特殊な状況である。橋下はこれまでも、意に沿わないものを挑発して注目を集めたうえで叩き潰そうとする手法を繰り返してきた。

 挑発に乗るような形で無意味な税金の無駄遣いに協力する気はない。また仮に無投票の場合、橋下は「野党は対立候補を立てられなかった。これは自分が信任された。相手は妨害のための妨害しかできない」などとすり替えて攻撃することが予想されるが、議会での力関係に変化はないのだから議会で粛々と対応すればいい。挑発をスルーされた橋下が「無駄なことをした」と批判にさらされることにもつながる――という判断から、この選択肢は、この状況では「あり」なのかもしれない。