いまみや小中一貫校の開設過程は?

橋下・維新2015年大阪W選挙, 西成特区構想

西成区市議補選で、大阪維新の会は、西成区内で評判が悪かった「西成特区構想」について、「いまみや小中一貫校の開設(2015年4月開校)」を中心に宣伝しているとのこと。また大阪市長選に関しても、いまみや小中一貫校に慎重な見解を示していたとして、同区選出の市議だった対立候補への攻撃にも使っているとのこと。

一見すると学校に設備投資し教育条件を向上させたようにもみえる。しかしいまみや小中一貫校は、開設の過程に問題があった。

結論から言えば、多少端折った言い方になるが「元々は西成区北東部の学校規模適正化の問題だけなのに、たまたまあいりん地区を校区に含む小学校も対象となっていたことに目をつけて、橋下の『エリート型小中一貫校開設』『西成特区構想』の2つの持論を押しこむ形にして新たな混乱を招いた」と言っていい。

まず事実として、現いまみや小中一貫校の校区を含む西成区北東部では小学校の児童数減少が進み、統廃合の選択肢も視野に入れた学校規模適正化が、2000年代から地域住民の協議で検討されてきた。

2011年12月に橋下徹市長が就任した。橋下は「エリート型小中一貫校の開設」を持論に掲げていた。

大阪市では、橋下の前の代の平松邦夫市政の時代から、別地域で小中一貫校の開設準備を検討していた。平松時代に具体的な話が進み予算や条例改正など準備が整ったあとに市長が交代する形で、2012年4月に東住吉区に小中一貫校を開設した。平松市政では、小中連携教育の延長線上としての小中一貫校を構想し、「エリート校」化は考えていなかった。

西成区補選の維新の候補者は、「西成特区構想で、大阪市で初めて、西成区に小中一貫校を作りました」とピンぼけの宣伝をしていたが、それは事実とは違う。

一方で橋下は、「あいりん地区の問題を表面的・皮相的に見て、あいりん地区での否定的な現象の代名詞として区名の西成と呼んで騒ぎ、あいりん地区の否定的な現象が西成区の全てかのような印象を与える」という2chレベルの理解で「西成特区構想」を掲げた。

そして「西成特区構想」の目玉にするために、たまたまあいりん地区を校区に含む小学校が統廃合対象になっていたことを利用し、弘治・今宮・萩之茶屋の3小学校を統合し、あいりん地区に近接する今宮中学校に小学校(のちに新今宮小学校と命名)を併設する形で、西成区北東部に小中一貫校を開設する構想を2012年に掲げた。

また学校を作ることで、あいりん地区周辺の環境改善を図るともした。

地元の人は、小中一貫校なんて選択肢にあがっていなかった、対象となっている3小学校の統合案でも校区の北端になる今宮中学校敷地を使うことは考えていなかった・校区の南側だと通学距離が1.5km~2km近くになると困惑していた。また、あいりん地区改善と学校統廃合の問題は別なのに子どもが利用される形になっている、エリート校より地域のこどもの実情を踏まえた教育をしてほしいなど、戸惑いが出された。環境が悪いところには子どもを安心して通わせられないという声もあがった。

その後紆余曲折を経て、2015年度のいまみや小中一貫校(大阪市立新今宮小学校・今宮中学校)の開校となった。

橋下市政のもとで、同一区内での学校選択制が導入された。また小中一貫校については校区在住の児童生徒は無条件に入れるが大阪市全域からの募集もかけるという方針を掲げた。橋下・維新は「いまみや小中一貫校には大阪市全域から応募がある」としている。一面ではそれも事実ではある。

西成区の学校選択制の希望者資料を見ると、2015年入学者、2016年入学予定者(2015年11月希望調査発表)とも、いまみや小中一貫校には校区外地域からの入学希望者数値が出ているものの、集計は大阪市全域が単位で、西成区内の他地域在住児童生徒のいまみや小中一貫校への希望者は不明である。その一方で元々の校区在住の児童生徒が、特に校区中部・南部だと隣接地域の他校の方が近いことなどもあって、隣接地域の学校を希望して流れているのではないかと思われるような、いまみや小中一貫校の校区の隣接地域の小中学校への校区外志願者数が多い希望傾向となっている。

また、いまみや小中一貫校では「スクールバスを走らせた」などともっともらしく言っているが、地理的要因から校区南部からは距離で2キロ近く、子どもの足だと徒歩だと40~45分前後かかるので、スクールバスなり通学定期支給なりの措置が必要だということにすぎない。

これらのことを考えれば、橋下・維新の宣伝は極めて一面的なものであり、都合の悪いことは無視していると言わざるをえない。

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