住吉市民病院の廃止問題について、推進してきた側の大阪維新の会・「還流君」こと飯田哲史大阪市議が2016年12月8日、廃止問題に反論するような連続ツイートを書いています。
6連続ツイートですが、意図的にしているのかはわかりませんが、わざと事実関係をすり替えたり関係ないことを持ち出したりなどしている代物です。
①先日の民生保健委員会で住吉市民病院の質疑を行い報道等でもたくさん取り上げられましたので補足説明。住吉市民病院問題は表面的にとらえられがちです。賛成反対双方私に頂いたご意見ツイートの多くは結構事実に即していません。その中でも代表的なものについて現状をお伝えします。
— 飯田 哲史 さとし 大阪市会議員 (@satoshi_iida) 2016年12月8日
②『住吉市民病院を維新や橋下市長が無理やり閉鎖した』→答えはNOです。住吉市民病院(稼働102床)は現在も小児科・産科とも営業を行っています。また、住吉市民病院を閉院後もその病床を委譲し府立急性期総合医療センター内に新たな病院棟を建設し97床の周産期医療センターがオープンします。
— 飯田 哲史 さとし 大阪市会議員 (@satoshi_iida) 2016年12月8日
これはすり替えですね。
「閉鎖した」と言っているが、「現在も営業している」からその言い分は成り立たない――この前提自体が変です。
たしかに2016年12月の現時点では営業していますが、橋下・維新が閉鎖を打ち出したという事実を否定することにはなりません。
住吉市民病院の統廃合計画は、橋下市政のもとで初めて打ち出されたものでした。
また稼働102床の病院を廃止し、97床の新病院を1ヶ所に建設しても、病院の受け入れ体制がその分減ることになります。
③『分娩ができる病院がなくなるやないか』→府立病院の敷地内に住吉市民病院の医療機能を引継ぐ新たな公立の新病院棟を建設し小児周産期医療機能の更なる充実を図ります。新センターは年間1200分娩を予定し晩婚化に伴うハイリスク母子の増加という時代のニーズに対応した医療機能を備えます。
— 飯田 哲史 さとし 大阪市会議員 (@satoshi_iida) 2016年12月8日
住之江区や西成区では、分娩ができる病院がなくなります。
また橋下維新が住吉市民病院の廃止を打ち出す前は、住吉市民病院の建て替えによって、住吉市民病院を高度周産期医療に対応・特化する病院へと改変する計画が、大阪市会で承認されていました。
④『病院が遠くなるやないか』→現在の住吉市民病院から約2kほどの所に住吉母子医療センターを建設しますが、バス路線の整備(実施済)やシャトルバス路線の新設(現在要望中)を通じて不便解消と共に更に通いやすい母子医療センターを実現します。遠くなっても通いやすい病院の実現が本質的な課題。
— 飯田 哲史 さとし 大阪市会議員 (@satoshi_iida) 2016年12月8日
「バス路線の整備(実施済)」って、バス路線がどこに整備されたのでしょうか。路線廃止や大幅縮小の話ならいくらでも聞きますが。
2014年4月に住之江公園駅~地下鉄玉出~播磨町~府立総合医療センター~住吉車庫間を運行する25号系統が新設されたことを指しているのでしょうか。しかしこれ、病院統廃合や通院患者の利便とは直接関係なさそうな運行形態です。平日のみのとりあえず運行している的な経路で、時間的にも使い物になりません。
一度あべの橋を経由する遠回りの形で、バスの乗り継ぎ、ないしは地下鉄からバスの乗り継ぎが一番早いですが、1時間近くかかる上に、バス停まで徒歩10分以上となる場合が多くなります。
⑤『民間病院建たないらしいやないか』→先日の市議会委員会でも議論されましたが、当初の設計から変更して平成30年4月からは現在の住吉市民病院を改築して先行開院し、2年後に本格開院となる計画が発表されました。暫定開業ですが小児産科を始めとする議会の付帯決議に基づく医療が提供されます。
— 飯田 哲史 さとし 大阪市会議員 (@satoshi_iida) 2016年12月8日
都合の悪いことは無視。
付帯決議に基づいても、従来の医療体制より縮小しています。そもそも民間病院の誘致には2度にわたった失敗し、延期に延期を重ねているものです。医療体制の後退は避けられません。
⑥『市民病院の民営化なんてやめてしまえ』→今回誘致する民間病院は住吉市民病院の民営化病院ではありません。住市は府立急性期医療センターと統合新たな住吉母子医療センターとして新生します。その跡地に議会や地域の要望により病院誘致を探った所、民間の南港病院が移転新築を希望。決定しました。
— 飯田 哲史 さとし 大阪市会議員 (@satoshi_iida) 2016年12月8日
わざとずれた前提条件を勝手に作って、自分に都合の良いようにずれたツッコミをしても、しょうがないでしょう。
市民病院の民営化ではなく廃止です。廃止に対して地元周辺から強い反対が起きたから、苦肉の策として民間病院の誘致を掲げる付帯決議をつけて一部会派を懐柔しただけにすぎません。
そもそも、住吉市民病院の単独改編で小児周産期医療に特化した高度医療病院へと衣替えする計画がまとまっていたのに、その計画を反故にして統合名目にしたのは、地域全体でみれば縮小にほかなりません。
「議会や地域の要望により病院誘致を探った」といっても、地域では市民病院としての存続を望む声が大きく、また民間誘致は議会一部会派への懐柔対策というだけで、2度にわたり失敗したものです。
住吉市民病院の一連の経過は、結局は建て替えでの高度化のほうが経済的にも安くついたのではないか、不要な不安と混乱も生み出した、余計なことをしなければよかっただけなのにわざわざ変なことをして混乱させたという経過になっています。