西成特区構想:あいりん問題をネタにして消費するだけの維新・大阪市

ニュース西成特区構想

大阪市が「西成特区構想」に関して、あいりん住民の意見を調査するとするニュースが流れた。

「西成特区構想」大規模調査へ(NHKニュース 2017年9月9日)

大阪・西成区でゴミや放置自転車などの対策を進めてきた「西成特区構想」について、あいりん地区の住民や路上生活者などおよそ500人から聞き取る、初めての大規模な調査が行われることが、関係者への取材でわかりました。

「西成特区構想」は、西成区の活性化を目指そうと平成25年度からゴミの不法投棄や迷惑駐輪の対策などの取り組みが進められています。
こうした取り組みの評価や課題について、あいりん地区の住民や路上生活者などおよそ500人を対象に今月19日から1か月かけて聞き取りなどの調査が行われることが関係者への取材でわかりました。

西成区と大阪府、それに大学などが協力して行い、あいりん地区で行政による大規模な聞き取り調査は初めてです。(以下略)

それに関して、柳本顕前大阪市議が、重要な指摘をしている。

この指摘は、当サイトでも度々問題にしてきた問題意識とも大筋で一致し、同意である。

「西成特区構想」と騒ぐものの、実際は「あいりんとされる現象が集中的に現れた場所とその周辺で起きている現象」の象徴として「西成」と言い換えて騒いでいるだけで、地理上・行政区域上の西成区全域のことではない。

あいりん関係者や「あいりんのセンセーショナル現象を面白おかしく言い立ててネタにしたいだけの輩」にとって、あいりん関係者の団結・共同を図る文脈では「釜ヶ崎」・センセーショナルな現象を否定的に騒ぎ立てるときは「西成」と、その場の都合に合わせて巧みに言い換えているだけではないかという疑問を、当ブログでも感じていた。

維新の「西成特区構想」も、根本的にはその発想の延長に立っている。

このため「西成特区構想」によれば、「西成」「あいりん」も、範囲も課題もはっきりしないことになる。

あいりん問題は、「あいりん」の枠でくくられるような現象が顕著に現れている地域が、たまたま西成区の萩之茶屋地域周辺にかかっているとはいえども、西成区という地域性に帰着させる課題ではない。

ホームレスや日雇い労働者・生活保護などについては、大阪広域の都市課題である。

あいりんといわれる地域についても曖昧で、実在する西成区の地域区分との対比では「住居表示上の町名の萩之茶屋」「太子なども含めた萩之茶屋地域(連合町会の範囲・旧萩之茶屋小学校校区の範囲)」「萩之茶屋地域に加え、山王地域・弘治地域・今宮地域の一部も含む」「南海電車の線路と大阪市道津守阿倍野線(花園町~今船~阿倍野交差点を東西に結ぶ大通り)に囲まれた西成区北東部の範囲」など、その場の状況に応じて曖昧な運用がなされてきた。

また地域の街づくりについても、萩之茶屋地域だけではなく西成区の各地域、また他の行政区も含めた大阪市の各地域で、地域住民の要望を反映しながら、地道に進めている。

どこか特定の地域を「特殊地域」呼ばわりされるいわれはない。1990年代以前のように、「あいりん=特殊地域」として「あいりんの一部の人たち優先」で地域住民放置ではなく、地域住民の生活環境改善を軸にして、たまたま同じ地域で生じているあいりんの現象についても地域生活の軸で捉え直すべきではないのか。

あいりんの現象を元々の地域由来の話題に勝手にすり替え、特殊な地域と固定化させてネタとして消費するような、一部のあいりん支援者やそれに同調した維新の発想では、課題が曖昧になるだけである。

萩之茶屋地域周辺での「あいりんの人たちに地域環境を荒らされてきたことに対する、地道な地域環境改善」を嘲笑して妨害していることにもなる。

しかもあいりんではなく西成と直接関係ない広域地名に置き換えることで、あいりんといわれる現象に関する地域環境への影響を直接受けていない天下茶屋や岸里・玉出・津守などの地域でも、行政上西成区になっているというだけで特殊な地域に違いないと勝手に決めつけられて風評被害が生まれる状況も出ている。

結局、維新のやり方は、90年代までに否定された表面的なあいりん対策を蒸し返し、「西成」と言い換えてごまかしているというだけにすぎない。

「西成」と目くらまししながら、同様の課題を持つ他地域も放置

またホームレス問題などでは、西成区だけの課題ではなく、大阪市全域の課題である。西成西成と騒いで「西成=特殊地域」扱いで注目を引きつけさせようとする割には、他地域は放置。

これは浪速区立葉地域の状況。汐見橋駅南側付近の新なにわ筋の歩道、南海汐見橋線沿い。

新なにわ筋
浪速区・新なにわ筋のフェンスと、ガタガタの歩道(2017年9月)

横のフェンスは2000年代、ホームレス対策として設置された。この地は2000年代前半頃まで、ホームレスが歩道に小屋をかけている状態だった。

西成区の萩之茶屋地域でも一時期同様の措置がとられたものの、「暫定的なものであり、再発の恐れがなくなったときには撤去する方針」という市会の答弁などもあり、今はそのようなフェンスはなくなっている。

しかし浪速区では10年ほどたっても、フェンスが撤去される気配はない。歩道はガタガタの状態で放置されている。

ホームレス問題については、行政の対応が不十分な点もあり、また行政の対応の不十分さを逆手にとっているような過激な一部支援者が言うような「野宿の権利」なるもので、おかしな混乱も起きている。経済・社会福祉・地域環境などから総合的に、また地道に解決を図っていくもので、ネタにして面白おかしく騒いで消費するものではない。

しかし維新は、目立つところでは騒ぐのに、目立たないところは放置ということ。騒ぐためのネタとして「西成」の地名を勝手に消費するが、地道な対策は取らない。

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