あいりん地区「子育て特区」構想について

橋下徹大阪市長は1月18日、あいりん地区周辺を特区として、大阪府外から転入する子育て世帯の市民税などを一定期間ゼロにするなど子育て世代転入促進策を打ち出した。

新聞各紙では「西成区を特区にする」と報じられていたが、西成区全体かのような見出しを付けながら実際によく読むと、全域ではなくてあいりん地区周辺のみである。橋下氏自身も、また報じたマスコミも、「西成区=あいりん地区、せいぜいそれに加えて飛田新地」だとでも思っているのだろうか。

西成区(全体)とあいりん地区(局地的な現象)を混同して論じること自体が根本的な間違いである。「大阪=道頓堀・通天閣」のステレオタイプのイメージと同じである。西成区自体は、下町の住宅地や商店街あり、お屋敷町として開発された経緯がある住宅地あり、工業地帯あり、再開発で作られた郊外型店舗あり、など、町や小学校区単位で雰囲気は全然違うし、課題も違ってくる。

さて本題。あいりん地区を特区にして、子育て世代が転入するようにするというのは、何を意味するのか。報道によると、橋下氏は転入者のみの優遇を考え、もとから住んでいる住民への対策ではないということである。

橋下氏は当初、区長兼任であいりん特区を推進する構想だったが、市長と区長の兼任は法律上できないことが分かり、区長の上のポストを新設してでもという方向に修正しながら、あくまでもとっくの直接指揮に固執している。

区の課題は市長の仕事ではないと言いながら、特定の区の特定の地域の課題には直接首を突っ込むというご都合主義はさておき、橋下氏が特区にこだわるのはなぜか、以下の理由が推測される。

そもそも現状、あいりん地区周辺には家族向けの住居自体がほとんどない。シナリオとしては、

  1. 悪意を持ったものが不正に架空転入し、不正者とそれに協力する者が利益を得る。
  2. 本当に子育て世代を呼び込む気があるなら、町自体をリセットしなければどうしようもない。再開発と現住民の排除。

が考えられる。思いつきだけの人気取り施策であろう。