突然降って湧いた「大阪中華街構想」

大阪市西成区北東部、動物園前駅南側のエリアで「大阪中華街構想」なるものが浮上していると、いくつかのメディアで断続的に報じられている。

西成区太子と山王の境界にあたる飛田本通商店街(動物園前一番街・二番街)を中心とした地域に、中華街を作る構想が浮上し、中国人の関係者が動き始めているとしている。

大阪中華街構想の想定エリア
「大阪中華街構想」想定エリアの地図

松井一郎大阪府知事・大阪維新の会代表は、中華街構想の関係者に対して期待の意を伝えたとも報じられている。

一方で商店街関係者や地域住民は、突然降って湧いた話に困惑していることが、マスコミ報道などで伝えられている。

2012年頃から一帯に中国系の「カラオケ居酒屋」が増え、それに伴って近隣からの騒音等の苦情も出ていることも相まって、状況がさらに悪化するのではないかという困惑。街の活性化そのものを否定するわけではないが、地域の街づくりの構想から出発したものではなく、歴史的にも中華街を定着させるようなコンセンサスがないのはいかがなものか。外国資本に地域の土地を買いあさられるような形になるのは懸念を感じる。――困惑の声の主な内容は、こういうことだそうである。

地域の人の困惑・懸念は当然であろう。

これは町内レベルの地元だけの問題にとどまらず、大阪市・府といった広い範囲での街づくり全体にも関わってくることであり、その意味でも懸念される。決して排除や排外主義などという悪意ではなく、「街づくりの課題として、地域の人が望まないものを、よそから来て突然作っていくという手法が妥当なのかどうか」という意味での懸念である。

「西成特区構想」のなれの果て?

しかもこの地域では、本来は労働や社会福祉など広域的課題として取り組むべき「あいりん」について、「この地域に押し付けて固定化すること」とも受け取れる方向での取り組みが、過去に行政などの主導で進められてきた。このことで、住民が求める形での地域の街づくりとはかみ合わない状態も生まれたことから、地域の街づくりには他地域以上に住民主体で慎重に進めてきて、2000年代以降は行政の施策も地域住民の思いに噛み合うようになってきた歴史的経過もある。

しかし橋下・維新が2012年以降打ち出した「西成特区構想」では、これまでの住民の取り組みで都合が良さそうなところだけ「維新だけが変えた。これまでは何もしなかった」と嘘を言い立てて横取りしながら、「あいりん」の影響を直接受けた地域だけでなく「西成区全域」が特殊な地域かのような風評被害を振りまいている。また地域住民の要望とはかけ離れたところでの、よそから来た企業や団体などが主導しての街づくりを図ろうとしている。

そこに中華街構想が追い打ちをかけている。そして中華街構想に好意的な維新。「西成特区構想」も「中華街構想」も、住民置き去り・「特殊な街」でないと都合が悪いという発想は、共通しているようにも見える。

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