2019年7月、「なにわ筋線」計画を国交省が事業認可する方向だというニュースが流れた。
それを受けて、松井一郎維新代表(大阪市長)がツイッターでこんなツイートを。
30年以上前から、大阪の成長に必要な鉄道路線と言われながら、大阪府大阪市の対立によって実現出来なかったのが、このなにわ筋線、この7年半、橋下吉村両市長と府市の組織をまとめ、鉄道事業者と協議を進め実現させた。これが、都構想効果です。 https://t.co/vi3osR0F1Z
— 松井一郎(大阪市長) (@gogoichiro) 2019年7月10日
これ、全く事実関係がデタラメ。
なにわ筋線計画が止まっていたのは、大阪府と大阪市の対立が原因ではない。
むしろ逆に、大阪府と大阪市は協調・連携して計画を構想していた。
大阪府・大阪市が合同で「鉄道網整備委員会」を設置し、1982年2月に「大阪を中心とする鉄道網構想について」をまとめた。その中になにわ筋線の構想も提示されていた。
建設費用の問題、対費用効果の問題など、府市の関係とは全く別の課題が指摘されて、具体的な建設計画が進まなかったというだけ。
たまたまこの時期、インバウンド効果などでかねてからの計画が具体化しやすい条件がそろっていたというだけのことである。
計画そのものの是非や疑問点にはここでは踏み込まないが、「この計画は、維新の都構想効果と称する府市連携でできた。それ以前は府市対立で進まなかった」というのは事実に反することになる。偶然の巡り合わせの運に恵まれたというべきことである。
なにわ筋線にしても、阪神高速淀川左岸線にしても、昔からの積み重ねでたまたまの巡り合わせに過ぎないのに、府市対立のせいで進まなかったとか、維新だけの手柄にしてしまうのは厚顔無恥なことである。