松井一郎大阪市長・維新代表が2019年9月17日、東京電力福島第一原発の処理水を大阪湾に放出することに応じる考えを示した。
松井大阪市長、福島原発処理水 大阪湾放出に応じる構え
産経WEST 2019.9.17 15:32日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は17日、東京電力福島第1原子力発電所で増え続ける有害放射性物質除去後の処理水に関し、「科学が風評に負けてはだめだ」と述べ、環境被害が生じないという国の確認を条件に、大阪湾での海洋放出に応じる考えを示した。大阪府と市は、東日本大震災の復興支援として、岩手県のがれき処理にも協力している。
言い出しっぺは、自称私人の橋下徹教祖様のようである。3日前の9月14日のテレビ番組での橋下発言に呼応し、9月17日に松井が意向を発表している。
橋下徹氏 進次郎環境相は「今は0点」 福島原発の汚染水解決へ「大阪湾に放出して」
デイリースポーツ 2019.09.14元大阪市長で弁護士の橋下徹氏が14日、カンテレ「胸いっぱいサミット!」にパネリストとして出演し、環境相に就任した小泉進次郎氏について「今の段階は0点」と評した。
(中略)
環境省最大課題のひとつに福島第一原発の汚染水問題を挙げ
(中略)
汚染水処理の問題については「今は環境基準より下回った状態になりつつある。処理して海に放出するしかない。僕は福島の海に放出するだけでなく全国の海、それこそ大阪湾に放出してもらいたい」と発言。
しかし考えてみればおかしな話。
汚染水処理が科学的に放出可能なほど安全になっているのならば、わざわざ大阪湾にまで持ってこなくても、その場で放出すればいいということになる。処理コストなども輸送がない分安く付くはず。
逆に言うと、完全に無害化できていないからこそ放出などできず、また原発事故による風評被害も根強く、原発敷地内にため込まなければならないということになる。
こういう指摘もある。
放射能汚染水の海洋放出。福島の漁業関係者は風評被害で壊滅的打撃を受けると強く反対している。それを大阪湾の漁業関係者がどうして受け入れられるのか!?タイ、タコ、アナゴ、イカナゴ…大阪湾の豊かな漁場を殺すな!https://t.co/AMiMBnptYP
— 山下芳生 (@jcpyamashita) September 17, 2019
松井・大阪市長の「放射能汚染水 大阪湾受け入れ」表明。福島や福島周辺の漁業関係者は絶対に喜ばない。原発事故による漁場汚染と風評被害に苦しみ続けてきたからだ。「助かった」と喜ぶのは原発にしがみつく東京電力と政府だけだろう。
— 山下芳生 (@jcpyamashita) September 17, 2019
政府の専門家会合では、薄めて海に放出する案の他、タンクでの長期保存が議題になりました。東電の「敷地不足」の主張に対し「(タンク設置場所は)まだまだ敷地内にあるではないか」「長期保存には敷地を拡張するのが早い」などの指摘がされました。 https://t.co/8z2hoVxZlV
— 山下芳生 (@jcpyamashita) September 17, 2019
3.11のあと訪ねた福島県いわき漁協の組合長は、「常磐もの」としてヒラメなどが築地で高値で取引されていたのに漁に出られなくなった悔しさを語ってくれました。その後、長期に試験操業を続け、やっと基準値以下になったのに風評被害は払拭されていません。苦しみが拡がることを喜ぶはずはありません。 https://t.co/uwSvzuoQMc
— 山下芳生 (@jcpyamashita) September 17, 2019
大阪に持ってきたところで、大阪への新たな被害を産むだけでなく、(放出できないのは現地・福島県のエゴだ、とすり替える)という、現地への風評被害を強めることにもなりかねない。
また大阪湾は大阪市だけのものではない。大阪湾は瀬戸内海にもつながり、広域への影響が懸念されることになる。さらには太平洋などほかの海域への影響の広がりも懸念される。
大阪湾の漁業、また周辺県の漁業にも、大きな風評被害を与えることになる。
こんなことを一私人の思いつき、またそれを受けた一自治体首長や政党党首の思いつきで、させていいのか。