大阪市の高校移管問題、「大阪市立高校」名称にも影響

読売新聞に『枚方市にある「大阪市立高校」、府移管で改名の岐路』が掲載されている。ウェブ版では2019年11月7日配信。

枚方市にある「大阪市立高校」、府移管で改名の岐路 : 国内 : ニュース
 大阪府枚方市にある「大阪市立高校(おおさかしりつこうこう)」の名称変更の可能性が高まっている。大阪府教委と大阪市教委が、2022年度に市立の高校21校をすべて府に移管する方針を固めたためだ。現校名のまま府立になることは

大阪市・維新市政が私立高校を府に無償譲渡する方針を打ち出したと報じられている。そのことについて、枚方市に所在する「大阪市立高校」の改名という点から掘り下げている。

大阪市立高校は通称「市立(いちりつ)」と呼ばれ、定着している。卒業生などからは「校名を残して」という声が上がっていることを紹介している。

読売新聞の記事では、同校の歴史を簡略に紹介している。

なぜ固有名称を持たない「大阪市立高等学校」で、枚方市にあるのか

大阪市立高等学校の創立50周年記念誌(1991年発行)を、図書館で調べてみた。学校の歴史については、おおよそ以下の様子。

1941年に大阪市立としては初めてとなる、旧制大阪市立中学校として此花区の仮校舎で創立した。(旧制の)7年制高等学校への移行を見越して、大阪市内にこだわらずに大阪市外にも校地を探していたという。当時の北河内郡枚方町が誘致し、学校側も応じたことで、大阪市外に校舎を構えることになった。

1948年の学制改革で新制高校へと移行した際、高等女学校や実業学校から移行したほかの大阪市立の高校との区別のために名称を付ける必要が出た。学校関係者は「大阪市立枚方高等学校」の名称を内定したが、大阪市からの物言いが付いて実現せず、最終的にはそのまま「大阪市立高等学校」として移行したという経緯があるとのこと。

1978年にも府立移管構想があったが立ち消えに

読売新聞の記事では、1978年に府立移管構想が出たことにも触れている。

記事ではこう説明している。

 78年には「大阪市民以外も通う学校を、大阪市の費用で運営するのはおかしい」と、府への移管が持ち上がった。市は有償での譲渡を求め、折り合わなかった。

この説明でも間違いとまではいえないが、創立50周年記念誌の記述ではもっと詳しい背景が書いている。

府と条件面で折り合わなかったという理由もあったが、それ以上に大きな理由は「当時の学校関係者の反対が背景にあった」ということ。

1978年、枚方市にある「大阪市立高等学校」の府立移管構想が持ち上がり、大阪市教育委員会は大阪府教育委員会に対し「有償譲渡を求める」とする文書を出した。

またこのことに関連して、1979年に大阪市立東高校が東区(現中央区役所敷地)から都島区の現在地に移転することに伴い、1979年度入試では敷地が広くなった東高校での受け入れ枠を増やす代わりに、「市立」の募集定員を減らす方針も出された。

「市立」では当時、大阪市内在住生徒4学級分・市外在住生徒4学級分として募集していた。しかし定員削減の際に市内在住生徒の定員のみを2学級減と大幅に減らされた。このことで、「市外在住生徒が大半を占めることで市立学校としての運営根拠が失われる。定員削減は府立移管を進めるための足がかり」という危惧が、教職員や卒業生の間に広がった。学校関係者に事前に意見聴取しないまま、市教委が方針を決めて突然発表したことへの反発もあった。

これらの内容を背景に、募集学級数を元に戻すことと、府立移管を撤回することを求めて、学校関係者から強い反対運動が起きた。

募集学級数復元は翌1980年度に実現し、また1988年には大阪市が「移管問題は白紙撤回したと見なして差し支えない」とする見解を出した。

府立移管には道理がない

「いちりつ」だけでなく、大阪市立のすべての高校を大阪府に移管するという構想は、学校関係者の希望や合意によって提案されたものではない。

大阪維新の会による「二重行政」なる言いがかりによって一方的に押しつけられた、非常に政治的な思惑の強いものである。

明治時代中期の1900年以降、大阪市の中等教育は府が中等教育・市が実業教育を中心におこなってきた。新制高校に移行しても普通科中心の府立学校に対して、市立学校は特色化・個性化を図ってきたという、得意分野での「棲み分け」「相互補完」が図られてきた。

決して「二重行政」などではない。

また土地や校舎など大阪市の財産を府にそのまま無償譲渡するというのも問題がある。

学校関係者が積み上げてきた教育実践、関係者の思いなどをすべて無にするような一方的な府立移管、許されることではない。

学校関係者をはじめ市民の共同で、一方的な府立移管は一度白紙に戻し、学校関係者の意見を取り入れた学校のあり方を検討していく必要がある。

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