大阪市の存続に賛成。大阪市の廃止、いわゆる「大阪都構想」は、市民自治の権限と財源を奪う暴挙であり強く反対。

大阪市の「給食費無償化」構想、維新のおかげではない

松井一郎大阪市長は2020年3月17日、市立小中学校での給食費無償化について言及し、当初予定よりも前倒しで実施する方針を表明した。

前倒し措置は新型コロナウイルス対策として2020年度の時限措置とする一方で、以前の報道では「数年後には恒常的な給食費無償化への移行を構想している」とも触れられていた。

当ブログでの給食費無償化に関するスタンスは、以下のようなもの。

義務教育の無償および教育の機会均等を考えると、義務教育にかかる家庭負担はできるだけ少ないことが好ましい。判例では憲法の「義務教育の無償」については「授業料の無償」と解されて、その他の諸経費は行政の立法措置次第とされているということだが、教育の理念を考えれば、行政が可能な限りの支援をすることが望まれている。給食については、2000年代以降広まった「食育」概念や、深刻化した「子どもの貧困対策」を考えると、無償化に踏み出すことは一つの流れであり歓迎される。しかし実際問題としては、財源の問題などもありすぐにできないかもしれない。それでも少しでも負担を減らすために、現時点で可能な負担軽減策を図り、中長期的な視野でも将来的な無償化につなげる一歩にしていくべき。

無償化の流れそのものは歓迎であり、理念自体を否定するものではない。

その上で、維新のやり方には疑問を感じている。

疑問点は、以下のようなものに分けられる。

  • 維新は「給食費無償化」に否定的で、給食費無償化を求める声を激しく罵ることもあったのに、それは何事もなかったかのように扱い、「維新の実績」として打ち出そうとしていること。しかもその際、給食費無償化を求めてきた他党を持ち出し、その政党は何もしていなかったと筋違いの攻撃までしていること。
  • 「財源がない」として否定していたのに、大阪市の財源ならできると言いだす一方で、その大阪市の財源を不安定な状況に追い込む「大阪都構想」を進めようとして、仮に特別区に移行された場合の継続が不安定・不透明になること。
  • 「新型コロナウイルス対策」という別件での維新の失策をごまかすために、それまで否定してきた「給食費無償化」で釣ろうとしていること。

維新は「共産党の主張」だから給食無償化を否定

吉村洋文前大阪市長・大阪府知事は、なんといっていたか。

2019年4月に実施された大阪府知事選で、自民党が主導して擁立した非維新系の小西知事候補が「給食費無償化を目指し、大阪府としても各市町村への補助を打ち出す」とする公約を掲げたことに対して、吉村知事候補と維新が激しく反発したもの。

客観的な状況の変化に伴って政策が変化・発展することは一般的にはありえる。しかし、ここまで激しく否定していたものを何事もなかったかのように「自分たちが以前から主張して取り組み、実現した」かのように印象操作するような真似は、不誠実であり厚顔無恥極まりない。

共産党への筋違いの非難

さらに維新・飯田哲史大阪市議はツイッターで、「共産党は給食無償化を求めていなかった」と執拗に攻撃。

2018年3月1日、大阪市会本会議の議事録より。共産党・瀬戸一正市議の議会質問と、吉村洋文大阪市長の答弁。

◆75番(瀬戸一正君)
次に、小中学校の学校給食の給食費無償化についてお聞きをいたします。
来年度予算では子供の貧困対策関連事業を本格実施するとされております。しかしながら、小中学校の給食費を軽減するための予算は盛られておりません。
(略)
本市においても、教材費などの学校徴収金を含む教育費全体の無償化を目指しつつ、まずは小中学校の給食費について無償化を決断するべきだと考えますけれども、御答弁を求めます。

◎市長(吉村洋文君)
給食費の無償化についてですけども、これを所得のある人に対しても含めて全て行うとなれば、新たに80億円程度の財源が必要になります。
現状におきましても、貧困対策として、そして非常に家庭状況が厳しいという家庭に対しては、就学援助制度を対象として小学校において給食は無償になってます。生活保護受給者と合わせたら全体で24%が無償になっている。一方で、やはり負担できる方はお昼の分については負担していただいて、それによって生み出された財源については学校における教育の内容、教育施策の充実に充てていきたいと思っています。

2018年3月1日 大阪市会本会議 瀬戸一正市議の議会質問

2018年3月1日 大阪市会本会議 瀬戸一正市議の議会質問

これ、どこをどう読んでも、「共産党が給食費無償化を求めて質疑している」「維新・吉村市長はその提案に否定的」としか読めない。

「大阪市」の財源を使うことは「都構想」を自ら否定

松井一郎がこのようにいっている。

この言い分通りだとすれば、維新市政の施策には矛盾が出ることになる。

これまで維新市政が給食無償化に背を向けていたことは、「財源」ではなく「やる気」の問題だったということになる。維新の「吉村前市長」を同じ維新の「松井市長」が否定したことにもなる。

維新がつぶそうと躍起になっている「大阪市」の強大な財源が「給食無償化」根拠になっていることで、「大阪都構想」が実現した場合の財源措置が不透明になるという問題もある。

大阪市の廃止・解体・特別区分割、維新がいうところのいわゆる「大阪都構想」では、現大阪市域の財政を単純に4等分するのではなく、一度府の財政として吸い上げて、府の取り分を除いた額を配分することになる。ということは、使える額は減少する。

さらに「都構想」では、「都構想」への移行にかかる経費や、特別区役所の新庁舎などの初期ランニングコストが莫大にかかり、当初から赤字必至とみられているものである。これでは、余計に給食費無償化を維持できるか不透明ということになる。

給食費無償化をするにしても、大阪市のままでこそできるし、大阪市のままでこそ将来にわたって維持できることになる。

維新の言い分は、矛盾し、破綻していることになる。

新型コロナウイルス対策の失態へのごまかし

国レベルでは、安倍首相が新型コロナウイルス対策として、突然の「休校措置」などを持ち出したが、各方面へのフォローが不十分だったことで、「子どもの休校中の過ごし方」「学校が授業計画や学校行事計画を急きょ組み替えざるを得なくなり混乱した」「子どもの面倒を見るために仕事を休まざるをえなくなった保護者が続出」「給食業者が扱っていた食材が宙に浮き、業者や産地へのダメージ」など、学校のみならず社会のあちこちに混乱が起きている。

休校措置は、国に先立つこと数時間前、大阪市でも独自に決定していた。また国レベルでの休校措置については、橋下徹が安倍首相に入れ知恵したとする報道も流れている。

国レベルの話はともかく、大阪市・大阪府レベルでは、維新が混乱を招いた先頭に立ったことになる。

また見方によっては、自称私人とはいえども今も維新を陰で動かしていることがうかがわれる橋下が、安倍首相との関係をもとに、国を「維新的な発想」で動かしたような形になり、「維新的なもの」の害悪を全国にまいたということにもなる。

さらに医療行政・公衆衛生行政についても、橋下時代に「二重行政」と言いがかりを付けて公衆衛生部門の府市統合・独法化をおこなったことがコロナウイルス問題での立ち上がりの遅れを招いたことも指摘されている。

これらのごまかしのために「給食費無償化」を言い立てるというのもおかしい。

「給食費の問題」は、市民要求を背景に、各会派がそれぞれ取り組んできたもの

給食費の無償化や負担軽減の問題については、大阪市でも、またその他の地域でも、市民の要望・要求を背景に、それぞれの会派の議員がそれぞれ質疑してきたものである。

大阪市では前述の共産党のほか、公明党や自民党も給食費無償化などを求め、市会で質疑をおこない、また市民に政策・公約として提案してきた。

決して「維新だけが一から提案し実現してきた。ほかの会派・党派は何もしていない」というわけではない。

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