大阪市の存続に賛成。大阪市の廃止、いわゆる「大阪都構想」は、市民自治の権限と財源を奪う暴挙であり強く反対。

維新、西成区地域差別のマンガで「都構想」訴え

大阪市の廃止・解体、いわゆる「大阪都構想」の住民投票がほぼ避けられない状況になり、2020年11月1日にもおこなわれると見込まれている。

維新が2020年8月1日、住民投票に向けての特設サイトを開設した。

特設サイトの中にあるマンガ。マンガには3人の登場人物が登場し、「都構想」を解説するという設定。

一発目からデマだけでなく、地域ヘイト・地域差別までおこなっている代物。

西成区への悪質な印象操作

登場人物の設定からしてデマ、地域ヘイト。

登場人物にはこんな設定が与えられている。

「フトシさん」:西成区在住の50歳前後の男性
「ユウスケ」:市大4年の男性。住吉区、杉本町駅近くの学生寮に住む。大学進学の際に越してきたため、綺麗な西成区しか知らない。
「ミユキ」:23歳、OL。ユウスケの彼女。城東区にある実家住まい。西成にはまだ治安が悪いイメージがある。

何この人物設定。

関西では大学の学年は4回生と数えるのが通例だとか、市大には学生寮はない(あったのは何十年も前の話らしいが)とか、そういう細かい設定には突っ込まない。しかし見過ごせない設定が。

「綺麗な西成区しか知らない」っていったい何のことなのか。「西成区は汚い」という偏見を持っているという前提条件があって初めて成り立つ言い草。

「綺麗な住吉区」とか「綺麗な城東区」とかわざわざいわないし、いったところで極めて不自然なことになる。そもそもそんなことをいう発想すらありえない。にもかかわらず西成区にだけそういう設定を与えている。また「西成にはまだ治安が悪いイメージがある」とも強調する。

西成区に偏見を持っているとしか思えない設定。

西成区の町並みは、大阪市内のほかの住宅地の地域と大差ない。住吉区の杉本町付近や、城東区ともそんなに変わらない。わざわざ西成区と持ち出して、何がしたいのか。

ストーリーもめちゃくちゃ。

「ユウスケ」と「ミユキ」が天王寺駅で待ち合わせ、「都構想」の話になったところに突然「フトシさん」が現れて食事に誘って「都構想」を解説する、設定上も元からの知り合いではない初対面ぽい印象なのに食事に誘うとかありえない、という突拍子もないギャグマンガのような設定には、突っ込まない。

そしてこんな話に。

西成区を「場所なんかかまわず、いろんなところに人が寝てたり、不法投棄や違法薬物も蔓延」呼ばわり。

これは悪意をもった偏見でしかない。

天下茶屋・岸里・玉出・津守など区の大半の地域では大阪市内の他地域と大差ない住宅街でしかない。「西成区」がそういう地域かのような言い草など事実無根。今も昔も見たこともない。あったとしてもせいぜい「よその地域でも同じくらいある」という程度のもの。

西成区のごく一部の地域、西成区の地域区分では区の北東部にあたる萩之茶屋地域の一部とその周辺では、「あいりん」と呼ばれる社会現象に関連する課題が他地域よりも目立っていたことはあるが、それは行政上西成区になっている地域のうちの狭い範囲である。

しかもそれは、産業・労働や社会福祉にかかわる都市問題として広域的な視点で解決を図る問題である。「特定の地域固有の特異な問題として、他地域には関係ない」扱いや、「特定の地域に特定の階層の人を押し込めて地域に閉じ込め、住民が環境悪化で困っていても知ったことではない」扱いをするような性質のものではない。ましてや、面白おかしく言い立てて消費するネタにするなど問題外。

たまたまその地域であいりんの課題が噴出したのは、いわば「過去の行政によってその地域に押し付けられた」という歴史的な偶然でしかなく、地理的にはどこで起きてもおかしくなかったはずのもの。

あいりんという社会現象を面白おかしく言い立てたうえ、「あいりんの否定的な現象を面白おかしく言い立てる代名詞・蔑称」として「西成区」という地名を使うことは、あいりん問題の解決の方向を曖昧にし、また西成区全域にも風評被害を与えることになる。

維新は、あいりんでの現象を面白おかしく言い立てて、あいりんにかかわる課題で困っている地域の人を笑いものにし、しかもそれを「西成区」と言い換えて直接影響を受けていない地域にも「行政上西成区に入っているからおかしな地域だ」と決めつけて嘲笑の矛先を向けているだけである。

地域の人は長年、環境改善・風評被害解消に取り組んできた

西成区の住民や区選出議員は、党派・会派の別に関わりなく、こういったいわれのない風評被害の払拭に長年取り組んできた。

労働や社会福祉などの角度からのあいりんの課題、あいりん問題にかかわって一部地域に地域環境悪化の被害が現れていることへの改善の取り組み、当該地域だけでなく「あいりんでのセンセーショナルで否定的なイメージを指して西成区呼ばわりされる」ことでの西成区全域への地域への風評被害の解消といった課題について、これらの課題は対立するものではなく一体のものとして取り組んできた経緯がある。

とりわけあいりんの課題が噴出した地域周辺では、地域住民の長年の要望で、ホームレス問題の解決や不法投棄の改善などに取り組んできた歴史的経過もある。維新の言い分は、地域住民の努力を嘲笑するようなものともなっている。

あいりんでの課題や、それに伴って発生した西成区への風評被害は、1990年代から2000年代にかけての歴代市政で一定の解決の方向が見えてきた。

萩之茶屋小学校前の道路を占拠していた不法屋台は、2000年代に撤去されている。

行政区としては西成区ではなく天王寺区だが、地理的には西成区との境界とも近接している天王寺公園でのホームレス問題は1980年代から取り組まれ、2000年代初頭までにあらかた方向性が付いていたもの。

しかし解決の方向が見え始めたタイミングで維新が現れ、維新以前の市政の成果・継続性を無視して自分たちだけの実績のように横取りして、「維新だけがやった・それまでは何もしていなかった」とデマを流している。また西成区に対する風評被害を蒸し返して強める対応も繰り返している。

「都構想」でよくなるというデマ

そしてその次のコマでもデマを流している。

「西成区や天王寺は、都構想を目指す動きによって維新が変えた」という使い古された印象操作。

マンション建設ラッシュや治安改善とか何それ?

そもそも西成区では、築30年以上の古いマンションはそれなりにあるが、近年にマンションはほとんど建っていない。一戸建ての多い地域であるのだが。マンション建設ラッシュって中央区や西区の話で、西成区ではない。

ついでに、中心部ではマンション建設ラッシュによって移住者が急増したがそれに見合う地域インフラ整備が追いつかなかったことで、小学校や幼稚園などの児童が急増して過密化し、教室不足になるなどの弊害も出ている。まちづくりのあり方として総合的な準備・対策が必要になるので、単純に乱立を喜ぶというわけにもいかないのだが。

西成区の治安は、昔から良くも悪くも平均的でしかない。事件などが発生しても、住宅地ならどこでも起きるような内容であり、西成区という地名を言い立てて特異な街扱いされるような印象操作をされるいわれなどない。また件数も他区と大差ない。治安が極端に悪かったものを維新が改善したなどという事実はない。

そもそも、大阪府と大阪市は広域的な都市計画などでは必要に応じて連携してきたものであり、維新以前には常に対立していたという事自体がデマ。

そして西成区の改善と偉そうにいうわりには、いずれも住民からの疑問の声が強かったのに、区内の津守幼稚園を廃止したことや、住所は住之江区だが西成区との境界付近にあって西成区住民からも「地元の病院」とみなされてきた住吉市民病院を廃止したことはスルーらしい。

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